カナダ菜種協会が野心的な菜種生産拡大計画を策定
2. 世界の菜種貿易を牽引するカナダ

 生産の拡大に伴って、カナダ国内の製油能力が拡大するとともに、日本をはじめ世界各国への輸出量も増加を続けています。日本向け輸出量はほとんど変わらない状態にありますが、今もカナダの菜種を最も多く輸入する国という位置づけは変わっていません。

 一般に、油糧種子・植物油を輸出する国は、当然のことですが大生産国でもあります。大豆では、アメリカ、ブラジル及びアルゼンチンが、パーム油ではマレーシアとインドネシアが、それぞれの大生産国で、大輸出国になっています。しかし、菜種に関してはこの法則がそのまま当てはまらないという特徴があります。

 世界最大の菜種生産国は中国で、およそ1200万トンを生産していますが、国内の需要が大きいことに加え、エルカ酸を多く含む旧来品種がかなりの割合で残存していること、生産地が内陸部で輸送のためのインフラが十分でないこと等により、海外へ輸出する余力を有していません。また、域内全体では中国を凌駕する生産を誇るEUは、最近では域内のバイオディーゼル向け需要の増加に伴い、域内流通が主となり域外貿易量が激減しています。

 この中で、世界第2位の生産国であるカナダが最大の輸出国となり、生産量は多くないものの輸出向けに特化したオーストラリアがこれに次ぐ輸出国となっています。

 世界の菜種貿易量は、2005年でおよそ760万トンでした。このうち約80%に相当する590万トンがカナダから輸出されています(図2参照)。第2位のオーストラリアは、生産量がさほど大きくないため輸出余力が年によって変動し、安定した輸出国という位置づけができない面があり、一時期は150万トンの菜種を輸出したこともありますが、2005年では80万トン強でした。しかし、2006年にオーストラリアは未曾有の干ばつに見舞われて菜種生産は激減し、輸入により国内需要を満たすことも必要な状況にあります。

 このように見れば、世界の菜種貿易はほぼカナダ一国に依存し、カナダの生産動向が世界貿易を規定するという状況にあります。バイオディーゼル向け需要が更に拡大すると予測される中で、カナダの菜種生産の動向は、世界の注目を集める状況になっています。


【 図2 世界の菜種貿易量の推移 】

図2 世界の菜種貿易量の推移
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