国際化の荒波の中で模索を続ける台湾の製油業
 1、域内植物油供給量は61万トン  ― 1人当たり供給量は日本を上回る ―

 台湾域内の植物油供給量は、2005年には61万トンでした(表1参照)。人口が約2,300万人ですから、1人1年当たりの供給量は26.5kgで日本の約20kgを上回っています。消耗の激しい常夏の国で、植物油を多く消費することにより活力を維持していることが見えてきます。(※この供給量には、インクや塗料等食用以外の用途に利用される植物油が含まれています。)

 このうち、約65%が大豆油、23%がパーム油で、日本で最大の供給量となっている菜種油はわずか5%に過ぎないものになっています。実は、台湾では菜種油がほとんど消費されない時期がありました。これには、菜種の従来品種にはエルカ酸(エルシン酸)が多く含まれていたことから、健康上の理由から台湾の人々が菜種油の消費を避けていたという事情があります。1970年代にカナダでエルカ酸をほとんど含まないカノーラ種が開発され、世界の菜種のほとんどがカノーラに切り替わったことから、台湾でも菜種油が消費されるようになりました。

 これらの植物油のうち域内の製油工場が生産している植物油は、大豆油、ごま油及び落花生油の3品種のみで、2005年の生産量は37万トン余りでした。これに対し、輸入された植物油は約25万トンで、域内生産量と輸入量の比率は約6:4でした。ここ数年の間にパーム油の輸入量が急増しており、輸入油の56%がパーム油となっています。


【 表1 台湾における植物油の供給内訳(2005年) (単位:トン) 】

表1 台湾における植物油の供給内訳(2005年)	(単位:トン)
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