「見える油」と「見えない」油 ~バランスアップで健康的な食生活~
■脂肪摂取が増えている日本人の食生活
 9月に厚生省から発表された「国民栄養の現状」(平成8年国民栄養調査成績)によると必要なカロリーを脂肪からとる割合が適正値を超えています。厚生省によると理想は20~25%(20~40歳代)。平成2年以降は、それを上回って少しずつ増加しています(図表1参照)。
■増えているのは「見えない油」!
 では、私たちは一体、どんな食品から脂肪をとっているのでしょうか。油といえばすぐに植物油やアブラ身を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、脂肪の摂取源はこれだけではないのです。「見える油」と「見えない油」という言い方を聞いたことはありませんか「見える油」は植物油やバター マーガリンなど普段調理に使う油のこと。一方、「見えない油」とは、肉や魚、それに穀類や豆、乳製品など、食品そのものに含まれる油です。実は、日本人の脂肪の摂取の4分の3はこの「見えない油」であり、摂取量を増やしているのも「見えない油」なのです(図表2参照)。“その他”の内訳を見ると、菓子類はもちろんのこと、野菜、きのこ、果物などといったおよそ脂肪とは無縁と思われるものにまで「見えない油」が含まれていることがわかります。  
 健康を考えたり、ダイエットのときなど、脂肪をとりすぎないようにと目先の「見える油」だけを減らしてしまいがちですが、「見えない油」の存在を忘れていては何にもなりません。仮に、植物油の摂取を必要以上に減らそうとすれば、必須脂肪酸など身体に欠かせない大事な栄養を取り損ねかねません。また 動物 植物 魚類の脂肪には異なった脂肪酸が含まれており これらをバランスよく取ることが望ましいといわれています。その理想的割合は 動物:植物:魚=4:5:1 脂肪の摂取量全体を下げる場合もこのバランスに気をつけなければなりません。
■脂肪摂取の正しい知識
 健康的な食生活を考えた場合の、脂肪とのつきあい方を右にまとめてみました。むやみに「見える油」の摂取量 を減らすのではなく、「見えない油」の存在も意識しつつ、バランスの良い摂取を心がけて、健康的な食生活を送っていただきたいものです。
【脂肪摂取におけるキーワード】
◆脂肪の望ましい摂取量は
1日に必要なカロリーの4分の1
◆脂肪の理想バランスは
動物:植物:魚=4:5:1
◆摂取する脂肪の4分の3を占める
「見えない油」に注意
MEMU