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 第28回の日加なたね予備協議が、本年7月12日~13日に、カナダのウイニペッグ市において開催されました。

 この協議は、28年前に、カナダとの間の菜種貿易を円滑に進めることを目的として開始された、官民協力による会議です。現在では、菜種の実る夏に日本から代表団を派遣して、菜種の生育状況を主とする意見交換を行い、年末に、翌年の需給を見込んだ意見交換を行っており、便宜上、夏の会合を予備協議、年末の会合を本協議と称しています。

 協議は、何らかの取り決めを目的とするものではなく、菜種貿易を取り巻く両国の状況に関して意見交換を行って理解を深め、菜種の円滑な貿易推進に寄与することを目的としています。

 この10年間の主な話題としては、遺伝子組換菜種の開発から生産・流通に至る情報交換が挙げられます。この会合を通じ、遺伝子組換菜種についての理解が深まりました。また、最近の問題としては、両国の農薬の残留規制を相互に理解することが重要であるという共通の認識から、これに関する情報交換を行っています。


カナダ産菜種の供給に不安なし? ― 作付け面積は9.5%、生産は12.4%増加の予想 ―

 今回の大きい収穫は、2004/05年のカナダ産菜種については、供給の不安がないという情報でした。

 本年の種子の蒔き時は、土壌水分も十分で、作付面積の拡大が期待されていました。しかし、5月の気候が低温・多雨で推移したため、根腐れを起こして他の作物に植え替えるという地域もあり、全体として生育が例年よりかなり遅れていました。私どもの懸念は、このために菜種の供給が不足するのではないかということでした。

 しかし、7月から気候が好転し、これまでの生育の遅れを急速に取り戻しつつあるとの見解が示されました。これらは、情報として入手していたものではありましたが、現実に生産現地で、責任者の皆様に確認したことで、私どもも供給に対する懸念を払拭することができました。

 しかし、これからの天候次第で状況が大きく変わることもあります。予備協議で大豊作予想を確認して代表団が帰路に就き、日本への機上の人となった時期に早期の霜害が発生し、減産となった苦い経験もあります。

 これまでのところ、カナダの菜種生産地域の天候は、7月半ばまでは順調に推移しましたが、それ以降は低温で雨がちな天候が続いています。このため、回復基調にあった生育が再び遅れ、早期の降霜による被害発生が懸念されていました。そして、8月第3週に早期の降霜があり、この懸念が現実のものとなりました。この被害はかなりの広範囲になるのではないかとの観測もあります。カナダでは、気温は例年より低い状態が続いており、菜種の生育は順調とはいえず、今後も霜害発生のおそれがあります。これからの天候の動向に一喜一憂しなければならない日が続きます。

 協議で示された2004/05年産菜種の生産予想は、次のとおりです。

 まず、菜種の播種面積は、12,809,000エーカー(約512万ヘクタール)で、前年より9.5%増加しています(表1)。これに平均的な収量を乗じて得られた生産量が750万トンで、前年より12.4%の増産と見込まれています。この後、8月24日にカナダ統計局は、今年の菜種生産量を824万トンとする見通しを発表しています。しかし、この発表には直前に生じた霜害の影響を含んだものではなく、今後の調査においてその影響が把握されれば、生産見込みが大幅に下方修正されることになると見込まれます。

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 また、2004/05年の需給については、期首在庫、生産量と需要の見込みにより、表3のとおりとしています。期首在庫の45万トンは、総供給量に対する在庫率が5.8%で、2003/04年の需給が綱渡りに近いものであったことを示しています。

 しかし、本年は、750万トンの生産を背景にゆとりを持った需給の見込みとなっています。輸出に振り向けられる数量は360万トンが見込まれており、日本が必要とする数量に不安はない見込みとなっています。

 今後は、霜害の発生による被害数量がどの程度になるかにより、この楽観的見込みが、悲観的なものになることも予想されます。農産物の宿命ではありますが、天候の動向によって需給が大きく変動します。この霜害発生の情報で、菜種の国際価格(ウイニペッグ市場の先物価格)が一挙に上昇に転じました。菜種の国際需給は昨年のような逼迫基調は解消されるものの、楽観すること危険であるという見方が支配的で、一時低下を示していた菜種の価格は、再上昇の気配を見せています。


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