注目を集めるバイオディーゼル

 植物油の用途の拡大策として注目を集めているのは、バイオディーゼルです。大豆油を精製してディーゼル燃料とすることが普及し始めました。通常の軽油に15%か20%のバイオディーゼルを混ぜて利用(B15,B20などと称しています。)されるのが一般的ですが、中には100%バイオディーゼルで走る車もあります。

 バイオディーゼルが注目を集める理由は、大きく分けて二つあります。
 ひとつは、環境保護の観点です。バイオディーゼルは植物などから作られるので、石油のように資源が枯渇する心配がないうえ、大気汚染物質の排出量が軽油よりも少ないとされています。環境保護庁(EPA)によれば、バイオディーゼル100%の燃料を使用すると、軽油と比べて、炭化水素類の排出量は67%、粒子状物質(PM)、一酸化炭素の排出量はともに47%減少します。窒素酸化物の排出量は、逆に10%増加しますが、全国バイオディーゼル会議(National Biodiesel Board)は、触媒を効果的に利用することによって抑制可能であるとしています。

 もうひとつの理由は、エネルギー安全保障の観点です。アメリカは原油の約半分を輸入に頼っています。原油の使用をバイオディーゼルやエタノールなど自国で生産可能な再生可能燃料に置き換えることができれば、輸入原油への依存度を低くすることができるというわけです。

 現在、バイオディーゼルは、主に政府関係の車に利用されていますが、軽油に比べて若干価格が高いこと、供給するガソリンスタンドがまだ多くないことが普及の上でのネックになっています。このため、現在議会で審議中のエネルギー法案では、バイオディーゼルの含有量に応じて連邦税を控除することが検討されています。

 バイオディーゼルの利用推進は、新たな需要の創出になることから、農業団体も支持しています。
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