最もよく利用される植物油は大豆油

 植物油の中で、最もよく利用されている植物油は大豆油です。このほかに、コーン油、カノーラ油(なたね油)、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、パーム油、ココナッツ油、オリーブ油など多くの種類の植物油が消費されています。
 このような利用のされ方は、言うまでもなくアメリカが大豆とトウモロコシの世界一の生産地であることによるものです。アメリカは、世界で生産される大豆、トウモロコシの約4割を生産しています。トウモロコシも大豆も主要な用途は飼料用ですが、トウモロコシはその3/4が直接飼料用に使われ、植物油原料に利用される量は多くないのに対し、大豆は国内消費の大部分が搾油用に利用され、その製品の大豆ミールが飼料用に利用され、油が食用や産業用に利用されます。ただし、大豆の価値の1/2から3/4は大豆ミールが占めており、大豆ミールの方が大豆油よりも価値が高いものとなっています。
  次に、アメリカ人が食生活ガイドラインに従った健康的な食生活を送るとすれば、アメリカ農業にどのような影響が及ぶかという試算をERSが行っていますので、その概略をご紹介しましょう。
  “1990年代前半におけるアメリカ人の1日当たり油脂摂取量は59グラムであった。したがって、健康的な栄養摂取のためのガイドラインに合わせるためには、油脂の摂取量を39%削減することが必要となる。この数量は大豆油換算で200万トンに及び、これに応じた大豆の生産削減は、作付面積で20%、1,200万エーカー(約480万ヘクタール)に相当する。ただし、減少分の多くは輸出、飼料、工業用などへ回すことができるので、これを考慮すれば、削減面積は300万エーカー(約120万ヘクタール)以下にとどまると見込まれる。”

  ところで、この試算の前提となっている時期に比べ、現在では油脂の摂取量が1割ほど増えています。したがって、この推論にしたがえば、さらに大豆の生産削減をしなければならないことになります。
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