3.適正な需給バランスこそ大切

 油の流通の変化が仮需の発生を抑え、“風が吹けば桶屋が儲かる”式の推論が成り立たないことが分かりました。仮需という見せかけの需要を当てにするのではなく、実際の需要、つまり実需に立脚した需給のバランスが市場の最も重要な要素になりました。私たち製油業界にとっては、流通段階の在庫が少なくなっているなかで、不意の需要に対処できるよう、少し余裕のある在庫を維持して、需給バランスある生産を行うことが求められています。

 そして、一方では、海外に原料を依存する食品産業にとって、国際的な市場の動向に連動した価格の形成が、産業の存続と安定供給確保のために重要な要素になっています。エル・ニーニョ現象による異常気象被害にとどまらず、世界の農産物生産は変動が大きいものです。この変動を市場がきちんと受け止めなければ、産業連関のどこかに支障が生じてきます。私たちの植物油は、非常に広範な食品産業において利用していただいています。植物油の供給に異常が生じると、その影響が大きく広がっていくことになります。日本の食品市場が、世界の原料供給の変動を分担しながら受け止めていくことが、長期的な食品産業の安定と、消費者の皆様へ食品を安定して供給していく上で大切なのです。
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